現在(2020/1/18)保持中のブロードバンドタワー(以下、「BBT」)について、掲示板で「ワラント」する会社だから信用できないという趣旨の投稿を見かけます。「ワラント」の意味が分からなかったのでどのような意味で使われているか調べました。
ワラントとは?
「ある会社の株式をあらかじめ定められた価格で購入することが出来る権利」です。
BBTでいうと、BBTの株式をあらかじめ定められた価格で購入することができる権利と言えます。
例えば、今が1月20日だとすると
3月1日に1株300円で100万株購入することができる権利 のようなことです。
また、BBTで言われるワラントは「行使価格修正条項付新株予約権」で、英語だとMoving Strike Warrantの略で、MSワラントと呼ばれるものを指すようです。
MSワラントは、新株予約権に「行使価格修正条項」が付いたものです。これはどいうことかというと、株価が将来変動しても、引受先はMSワラントを使えば「あらかじめ決められた価格で株式を取得」できます。
今回のBBTでは、
当初行使価格:335円、 行使価格:終値の91% 、 下限行使価格:201円
(2019年4月5日のBBTのIRページで確認)
なので、引受先はいつでも終値の9%安い価格で株式を取得できるので、必ず利益が出るしくみとなっています。
BBTのワラントについてより詳しく
「ブロードバンドタワー」「ワラント」で検索すると、四季報のページが出てきたので、こちらの記事を参考に理解を深めていこうと思います。
(内容を詳しく理解するには企業のIR情報を見る必要があります)
四季報記事↓ (2019/4/8の記事です)
・・・要点をまとめ理解していきたいと思います。
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2019年
4月5日(金曜日)(終値:342円)
豪マッコーリー・バンクを割当先とする第三者割当増資と第10回新株予約権、無担保社債の発行を発表。4月22日を入込・割当日に発行価格304.85円で115万株の新株を発行。新株予約券は650万株、当初行使価格335円
4月8日(月曜日)(終値:313円)
需給悪化懸念や1株当たり利益の潜在的な希薄化懸念で株価下落。
8月13日(火曜日)(終値:231円)
第三者割当による行使価格修正条項付第10回新株予約権の権利行使完了及び月間使用状況に関するお知らせ (BBTのIRページより)。
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4月5日に発表された内容が理解できば解決なので、詳しくみていきます。
①BBTが115万株304.85円で新株を発行し、豪マッコーリー・バンク(以下、「マッコーリー」)に割り当てる。
115万株×304.85円 = 約3億5千万円 資金調達
②BBTが650万株、当初行使価格335円の新株予約権をマッコーリーに対して発行。この時点ではマッコーリーは権利を行使しないので資金調達はまだ。
当初行使価格が335円なので、650万株×335円=約21億円調達できる可能性があるが、
下限行使価格だと650万株×201円=約13億円しか調達できない可能性もある。
③BBTが無担保の社債を6億5千万分をマッコーリーに発行し、6億5千万円調達。これは、②の新株予約券をマッコーリーが行使しないと資金調達ができないので、保険のようなもの。マッコーリーが②を行使して資金調達できれば、その中から社債を返還すると理解しました。
これらから分かったことは、例え、株価が変わらなかったとしても発行株式数が新たに115万+650万=765万株が増えるので1株あたりの価値が下がるということです。
また、MSワラントで調達した株をマッコーリーが売るので売圧力が強まるとともに、下落を予測した投資家達が売りを行うので株価は下落する可能性が高い。
MSワラントまとめ
MSワラントを行うと既存株主が損失を受けます。 MSワラントの期間は株価はまず上がらないので長期投資の人以外は即座にポジションを外すのが賢明です。
現に、2019年4月5日の発表時の終値342円から新株予約権行使の終了のお知ら日の2019年8月13日の終値は231円と3割以上も株価が下落しています。300円付近で購入した投資家にとっては災難ですね・・・。
MSワラントは通常の融資を銀行等から受けれない場合等に行われるもので、既存の株主にダメージを与えることから、この資金調達を行う会社は株主を大事にしない会社と言われるのも納得できます。
この文章を書いてから半年以上たち
・・・2020年9月16日現在 BBTの株価は415円です!
結果的には300円付近で購入した人も助かりました。